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海底三百ミリメートル・実践編 [10] 番外
油膜取り装置の製作 |
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立ち上げ中の「三百ミリメートル水槽」に油膜が発生して不快なので、
油膜取りの装置を自作してみました。
同様の製品は各メーカーから市販されていますが、
いずれも外部式濾過装置等の吸水パイプに接続するようになっています。
「三百ミリメートル水槽」ではワンタッチフィルターしかセットしていませんので、
市販の商品は使えません。
そこで自作に挑戦する事になりました。
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「油膜取り装置」 |
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「油膜取り装置」というと何かすごいものを作るようですが、実は非常にシンプルな、小さな道具です。プラスチックのパイプやビニールホースを使って以下のようなものを作り、それを外部フィルターの吸水パイプにとりつけるだけです。(吸水パイプには予め、「油膜取り装置」からの表面水を取り込むための穴を開けておきます。)

「油膜取り装置」をろ横から見たところ
ビニールホースにL字型のプラパイプ(スリット入り)を
取り付けたものです。
プラパイプの取り付けにはシリコンボンドを使用しています。 |

ビニールパイプには予め穴を開けてあり、
プラパイプから飼育水がビニールホース部分に
流れ込むようになっています。
後でフィルターの吸水パイプに取り付けられるよう、
ビニールホースは縦に切れ目が入っています。 |
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水槽へのセッティング写真 |
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ちょっと分かりにくいかもしれませんが、水槽へのセッティング写真です。
今回の場合にはフィルターの吸水パイプの水面直下、2.5cm程度の部分に穴をあけ、そこに「油膜取り装置」をセットしましたが、実際に使用してみると、表面水を取り込むだけでなく、空気まで吸い込んでしまい、場合によってはポンプが空回りする事もありました。
プラパイプをもっと長く伸ばし、「装置」の取り付け位置をより深い部分に持ってくることで、この空気の巻き込みは防げるものと思われますので、「自分も作ってみよう」と思われる方は、その点に御注意ください。
なおその場合にも、スリットの位置は水面直下、5〜10mmくらいまでにとどめておきます。
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用意するもの(材料と工具) |
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特別にものは何も要らないのですが、以下のものを用意します。
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1. |
直径5mm強程度のプラスチックパイプ
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素材はアクリルでも塩ビでも構わないと思います。(私はアクリルパイプを使用) |
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2. |
シリコンボンド(透明/防カビ剤の配合されていないもの)
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3. |
ビニールホース(3〜5cmほど)
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「油膜取り装置」を、外部フィルター等の吸水パイプに取り付けるために使用します。
「給水パイプの外径=ビニールホースの内径」とすれば、隙間なく、ぴったりセットできます。 |
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4. |
糸ノコ
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アクリパイプを切ったり、パイプにスリットを入れたりするのに使います。 |
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5. |
ヤスリ
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油膜を吸い取るスリットの加工や、パイプの切断面の研磨に使います。平らな平ヤスリや丸ヤスリなど、いくつかのヤスリがセットになった「組ヤスリ」がひとつあると、プラスチック加工には何かと便利です。 |
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6. |
カッター、ハサミなど
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7. |
ドリルなど
→ |
外部フィルター等の吸水パイプに穴を開けるのに使用します。 |
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8. |
彫刻刀(丸刀・小丸刀)
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フィルターの吸水パイプやビニールホースの穴あけにはハンダゴテなどを使用することも考えられますね。
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油膜取り装置の製作とセッティング |
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材料や工具を揃えたら、以下の手順で作製&加工します。
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1. |
パイプの折り曲げ
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まず、プラスチックパイプをガスコンロの火などで炙って暖め、90度に折り曲げます。 |
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2. |
パイプのカット
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次に糸ノコを使って、パイプを適当な長さに切ります。パイプを切る長さは、「油膜取り装置」をセットする位置(水深)に合わせて、適当に調整して下さい。
パイプの切断面は平ヤスリで綺麗に整えておきましょう。 |
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3. |
スリット(切れ込み)の作成
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糸鋸を使って、パイプにスリット(切れ込み)を入れます。怪我をしないよう、気を付けて、丁寧に作業を行って下さい。実際の使用時には、このスリットから飼育水の表面水を取り込み、フィルターの吸水パイプの中に吸い込ませます。スリットの長さも、「油膜取り装置」をセットする位置(水深)に合わせて、適当に調整して下さい。
スリットの位置は、水面直下ぎりぎりくらいに調整すると良いでしょう。平ヤスリなどを使って、スリットの幅も調整して下さい。この幅なども適当です。スリットの幅が狭いと吸い込み量が少なく、空気の巻き込みが増えるかもしれません。幅広すぎると水面下からの吸水量が増えて、表面水を吸い取らなくなります。状況に合わせて調整していただきたいと思います。 |
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4. |
ビニールホースのカット
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ビニールホースの片側を縦にカットして、ビニールホースを平らに展開できるようにしておきます。 |
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5. |
ビニールホースの穴あけ
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プラスチックパイプの外径に合わせて、ビニールホースに穴を開けます。彫刻刀やハンダゴテを使って、上手に穴を開けて下さい。 |
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6. |
ビニールホースとプラパイプの接着
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ビニールホースの穴にプラパイプを差し込んで、シリコンボンドで接着します。
ビニールホースの内側にプラパイプの先端が飛び出してしまうと、後でフィルターの吸水パイプに取りつけた時に密着しませんので、プラパイプの先端が飛び出ないように気を付けます。
この接着が住むと、一応、「油膜取り装置」の出来あがりです。
なお、シリコンポンドで接着した後は、しっかり乾燥するまで、1日以上、放置してください。 |
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〜 ここで1日、休憩 〜 |
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7. |
吸水パイプへの仮止め
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十分に乾燥した「油膜取り装置」を、フィルターの吸水パイプに取りつけて位置を調整します。
プラパイプの先端が水面より上に出るように、かつ、スリットの下端が水面直下になるように、「装置」の取りつけ位置を調整します。この時、吸水パイプのどこに「装置」のパイプ穴が位置するかを良く見極めて、そこに印をつけておきます。 |
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8. |
吸水パイプの穴あけ
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ドリルなどを使って、吸水パイプに穴を開けます。回りをビニールホースで覆われてしまいますので、「油膜取り装置」のプラパイプよりも少し大きめの穴を開けても構いません。その方が後で、位置の微調整数可能になると思います。 |
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9. |
「油膜取り装置」のセットと試運転
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プラパイプの穴と、吸水パイプの穴の位置を合わせるようにして、再度、「油膜取り装置」をセットします。セツトが出来たら実際にフィルターを動かして、表面水が「装置」の中に吸い込まれていくかどうか、確認して下さい。あまり具合が良く無いようなら、パイプの穴の位置を変えたり、スリットの幅を変えたりして、微調整をします。
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10. |
「油膜取り装置」の固定
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必要に応じて、「装置」をパイプに固定します。プラスチックのホースバンド等を使って、しっかりと締めつければ良いでしょう。 |
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製作&使用上の注意 |
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- 最初に書きましたが、私が製作したものでは、フィルターの吸水パイプに穴を開ける位置が高すぎる(水面に近すぎる)ために、「油膜取り装置」が表面水だけでなく、空気まで吸い込んでしまい、音がしたり、ポンプが空回りする(私の場合にはそこまでにはなりませんでしたが)、などの弊害がありました。
そこで、次回、Ver.2を製作する場合には、プラパイプをもっと長く伸ばし、吸水パイプへの取り付け位置を低く(深く)する予定です。このことによって、空気の巻き込みは減らせるものと思います。

つまりこういうことです。
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- また、この空気の巻き込みは、水槽に水を足して、水位を上げることで防止できましたが、蒸発などで水槽の水位が下がると、再び空気の巻き込みがはじまります。もしこの「油膜取り装置」を作って、使用する場合には、頻繁に「足し水」ほ行って、水槽の水位がなるべく変化しないよう、心がけてください。
- さらに、「装置」の「スリット」の幅が広すぎたり、スリットが長すぎて、水面下の深い部分にまで達してい場合などは、逆に表面水を取り込むことが出来ず、油膜が取れない可能性もあります。その場合には、プラパイプの直径と合致する内径のビニールホースやビニールパイプなどをかぶせて、スリットの長さ(深さ)を調整すると良いと思います。
適当な材料があるかどうかは、東急ハンズなどで研究してください。
- このページの製作時(2004.05.09)、我が家の「三百ミリメートル水槽」では、「油膜取り装置」をセッティングしてから1週間が経過していますが、一応、油膜の発生は抑えられているようです。ただし、本当に常に表面水が取り込まれているのかどうかは分かりません。色々水槽をいじっているので、その度に水槽の水位が変化し、表面水と空気を、ポンプが吸い込んでいるからです。
しかし空気を吸い込む時、同時に、水槽の表面水の油膜も一気に吸い込みます。すると、考え方としては、「油膜取り装置」を常時稼動させるのではなくて、普段は何かでフタをしておいて、油膜が酷くなったら、1週間に一度くらい、ガーッと稼動させて空気と油膜を吸い込む、なんて使用方法も「あり」かな?なんて考えてます(笑)。
その辺は是非各自で工夫していただきたいと思います。
- なお、フィルターのパイプに開けた穴を塞ぎたい時には、シリコンボンドなどで塞いでも良いのですが、今回「油膜取り装置」を取り付けたのと同じように、ビニールホースを切って開いて、穴の部分を塞ぐように巻き付ければ、簡単に穴を塞ぐ事が出来ます。
「装置」の位置を移動させる場合などの参考にして下さい。
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以上が私が自作した「油膜取り装置」です。
この「装置」は別に外掛けフィルターだけではなく、
上部式や外部式の濾過にも使用可能と思います。
(ただし外部密閉式の場合には空気の巻き込みには要注意。)
同じ機能のものを市販品で買うと1,000円〜1,500円くらいしますから、
この程度のものであれば、自作した方が良いですね。
ただし、ご自分でお作りになる場合には、
くれぐれも、空気の巻き込みにご注意下さい。
ポンプの空回りは過熱や故障など、重大な結果を招く可能性がありますから、
十分に注意していただきたいと思います。
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