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海底三百ミリメートル・実践編 [11] 番外
サイドオーバーフロー水槽の
セッティング

 

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三百ミリ水槽とは直接関係ないのですが、
掲示板の方でサイドオーバーフローの水槽連結方法が話題になりましたので、
この機会に方法論を公開します。
同じ仕組みを使って、様々な水槽の連結方法が考えられますので、
DIYの得意な方は工夫して見て下さい。

 

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必要なパーツ
 
1. 水道配管用のエルボ サイフォン部分の「U字管」作成のためのパーツです。

2. 塩ビの水道管 配管に使用します。

3. エアホースのプラつなぎ 「U字管」の上部にエアホースを接続するのに使用します。
「U字管」の頂点部分にキリやドリルで穴を開け、そこへ、この「プラつなぎ」を接着します。

4. エアホース 一般のエアレーション用ビニールホースです。

5. ディフューザー 市販のディフューザーです。
このディフューザーと「U字管」の頂点をエアホースで繋ぐ事で、「U字管」内部に溜まるエアを排出します。

6. ポンプ 水中ポンプでも外部ポンプでも、何でも構いません。
ディフューザーを使うことで流量が落ちますので、最初からなるべく大きな流量の、パワーのあるポンプを使用する事を推奨します。

7. 配管用ホース類等 ポンプの配管などに必要なパイプ・ホースなどは適宜、用意して下さい。

8. 工具類 キリや接着剤などです。

   
配管図(模式図)
 
サイドオーバーフローの配管は、おおよそ、下記の図のように行います。(濾過槽に底面濾過をセットした場合。)
具体的な加工の手順は簡単ですので、省略します。

【 配管図 】

   
具体的なセット方法
 
サイフォンの原理を御存知であれば、配管図を見れば飼育水の流れは理解できると思いますが、念のために、順を追って説明します。

1. まず事前の準備として、中央の「U字管」の頂点に繋げたエアホースから空気と水を吸い上げ、「U字管」の内部を飼育水で満たします。このことによって、「U字管」を通じて、サイフォンの原理が働くようになります。エアホースの先端はディフューザーに接続し、連続的に水を吸い上げる事が出来るようにセツトしておきます。

2. 次にポンプの電源を入れると、向かって右側の濾過槽の底面濾過の底面板から、ポンプが飼育水を吸い上げます。

3. ポンプに吸い上げられた飼育水はホース内部を伝わって、向かって左側のメイン水槽に流れ込みます。

4. メイン水槽に飼育水が流れ込むと、メイン水槽側の水位が上がり、同時に濾過槽側の水位が下がりますので、二つの水槽の水面の高さに落差が生まれ、サイフォンの原理で、メイン水槽側の飼育水が「U字管」を通り、濾過槽側に流れ込みます(オーバーフロー)。

5. この2.〜4.を繰り返す事によって、二つの並置された水槽の水何時常に一定に保たれますが、「U字管」の内部に空気が溜まると、サイフォンの原理が働かなくなり、この図の場合では、メイン水槽側の水槽から水が溢れてしまいます。
そこで、「U字管」の頂点から伸ばしたエアホースをディフューザーの吐出部の空気取り入れ口に繋ぎますと、ポンプからの水がディフューザーから排出される時に同時に、エアホースの中の空気と水を吸い上げてくれますので、「U字管」の中に空気が溜まりません。
「U字管」の内部に溜まっている空気の量によっては、1.の手順を踏まなくても、ポンプに電源を入れるだけでエアチューブが「U字管」の内部の空気を吸い出してくれますので、理想的なバランスはその様にセットすることになります。

   
セッティングの際の注意
 
1. エア抜きについて
  上記のDをご覧頂くと分かりますように、この「サイドオーバーフロー」の生命線はサイフォン部分です。ここに空気が溜まるとたちまち、水槽周囲の家具に対して悲惨な結末が待っている事になります(^_^;;。
万が一の自己を避けるためにも、エアチューブ内部の目詰まりなどにご注意下さい。特に海水を使用していますので、「U字管」の頂点部分やエアチューブ内部などは、飼育水の塩分やミネラル分などで、非常に目詰まりしやすくなっています。最低でも1ヶ月に一度、目詰まりの有無をチェックされるよう、強くお奨めします。
   
2. サイフォンの太さ(内径)
  セッティングの際のバランスで問題になりますのは、ポンプの流量と「U字管」の太さ(内径)のバランスの問題です。仮に、ポンプ流量が20L/mもあるような高出力のポンプを使用して、「U字管」の内径が9mmなど、細いパイプを使用してしまうと、結局「メイン→濾過槽」への水の異動が間に合わなくて、メイン水槽が溢れる事態になります。
これを防ぐにはとにかく、「U字管」の内径を、出来るだけ太くしておくことです。具体的に「どれくらい」とは言えませんが、とにかく「濾過槽→メイン」のパイプ内径よりも、必ず太いものを使うようにして下さい。
   
3. 停電などへの対応
  サイドオーバーフローにした場合、もうひとつ怖いのは停電などによるポンプ停止の際の対応です。ポンプ停止するだけなら水槽から水が溢れることはありませんが、ポンプ停止の間に「U字管」内に空気がはいってしまうと、サイフォンが途切れてしまい、再通電した後にメイン水槽から飼育水があふれる事になります。
これを防止するためには理想的には、濾過槽側かメイン水槽側のどちらかに、フロートスイッチなどを設置して、水槽の水位がある一定以上に増えたり、減ったりした場合には、ポンプへの電源供給を停止するようにしておく事です。
もしくは、上記3.のD.に記載したように、ポンプ運転開始後、自動的に「U字管」内部のエアが吸い出されるようなセッティングを追及する方法もあります。この場合には、より微妙なセッティングが必要となりますので、「U字管」の太さや形状を、様々に工夫していただきたいと思います。

また、万が一の事態に備えて、メイン、濾過槽、それぞれの水槽の水位を、あらかじめ低めに設定しておくと言うのも、一つの方策です。

 

以上が、2つ以上の水槽を並行して連結する「サイドオーバーフロー」のノウハウです。
色々な応用が可能ですので、掲載した模式図以外にも、
様々なセッティングを試してみて下さい。

 

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