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海底三百ミリメートル・知識編 [4]
海水魚の混泳(2)
〜 飼育生体数の目安 〜

 

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タンクメイトの組み合せ方の基本を考えたら、次には具体的に、
自分の水槽で何匹くらいの魚を飼えるのか、が気になると思います。

ただし、これは水槽の大きさだけではなくて、
濾過装置の能力・魚の種類・大きさ・性格・等など、
様々な要素が複雑に関わってきますので、
一概には言えません。

それでも、「まあこんなものだろう。」と思われるレベルがありますし、
全く初めて魚を飼う方には参考にもなるだろうとも思います。
そこで、ここでは一応の目安として、
「私ならこう飼う。」という組み合わせをご紹介しようと思います。

ただし、記載した内容に関してはいかなる補償もできません。
ここに記載された通りの組み合せ&生体数で飼育しても、上手く行かない事もあると思います。
その場合にも一切、責任は負いかねますので、飼育生体の選択に関しては、タンクキーパーの方、ご自身の判断で行っていただくよう、改めてお願いします。

 

 

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17cm水槽(水量5L程度)まで
  海水魚の長期飼育はまず不可能です。(シャコくらいなら飼えるかもしれませんが…。)

水量5Lなどという小型水槽はあくまでも緊急避難的に使うものであって、海水魚を「飼う」設備ではないと思います。そのような水槽で例え、数ヶ月間の間、魚を殺さずに生存させる事が出来たとしても、決して他人に自慢できる事ではありません。
今、金儲けに目がくらんだ観賞魚販売業者の一部が、そのような水槽に海水魚を入れて「入門セット」などと称して販売をしていますが、もし既にそのような水槽で魚を飼い始めている人がいたら、できるだけ早く、少しでも大きな水槽に買い換えて下さい。
心よりのお願いですm(_ _)m。

   
30〜36cm水槽(水量18L程度)まで
  基本的に、あまり遊泳しないタイプの魚をごく少数、飼育できるのみです。

カクレクマノミ×2匹と小型のイソギンチャク(←実はちょっと無理かも…苦笑)
テッポウエビ(ペア可)と共生ハゼ1匹(またはベア)
ただし、底面濾過は施さず、パウダーの砂を敷く事が必要です。
スズメダイ(デバ・シリキ・ルリなど)×1匹+底性ハゼ×1匹
ハナゴンベ×1匹+底性ハゼ×1匹
プテラポゴン・カウデルニイなどの小型ネンブツダイ系を2匹

この程度ではないでしょうか。ただし、この他に残餌処理用のヤドカリやエビ、コケ掃除用の巻貝をそれぞれ数匹ずつを入れて飼う前提です。

またこの他に

サラサゴンベ、クダゴンベ、メガネゴンベなどのゴンベの類
ちなみに、「ハナゴンベ」は「ゴンベ」という名前は付いていますが、「ゴンべ」の仲間ではなく、「ハナダイ」の仲間です。
イソカサゴなどの小型のカサゴやイザリウオの類

などもあまり泳がない魚ですので、飼育可能ではないかと思います。(もちろん、サイズによりますが)。
ただし、これらの魚は肉食ですので、他の魚や甲殻類との混泳は非常に難しくなります。単独飼育することを前提にしておいた方が無難と思われます。

   
40〜45cm水槽(水量35L程度)まで
  36cm水槽のパターンに1〜2匹を追加する程度です。

カクレクマノミ×2匹、小型のイソギンチャク、ハゼ(遊泳型も可。またはハナゴンベなど)×1匹
テッポウエビ(ペア可)と共生ハゼ1匹(またはベア)、スズメダイ×1匹
ただし、底面濾過は施さず、パウダーの砂を敷く事が必要です。
スズメダイ(デバ・シリキ・ルリなど)×1匹+遊泳型ハゼ×1匹、スクーターブレニー×1匹
プテラポゴン・カウデルニイなどの小型ネンブツダイ系を4〜5匹

肉食系の魚を入れないのであれば、スカンクシュリンプ(アカスジモエビまたはアカシマシラヒゲエビとも)など、鑑賞上も美しいエビなどを入れると、魚は少なくても華やかな水槽を作る事が出来ると思います。

なお、イソギンチャクを入れる場合は、サンゴイソギンチャク、タマイタダキイソギンチャクなど、大型にならないものに限ります。カクレクマノミとの共生で人気のハタゴイソギンチャクやイボハタゴイソギンチャクなどは、大型化しますので、45cm以下の小型水槽で飼育するのは困難でしょう。その点、ご注意ください。

   
60cm水槽(水量50L程度)まで
  10cm以下の小型の魚を4〜5匹程度までで、飼育するのが良いと思います。

カクレクマノミ×2匹、イソギンチャク(中型まで)、ハナゴンベ×1匹、小型ハゼ(またはスクーターブレニー)×2匹、など
↑実は今、私が考えている水槽です…(^_^ゞ
カクレクマノミ×2匹、イソギンチャク(中型まで)、小型ヤッコ(ピグミーエンゼル×1、など
プテラポゴン・カウデルニイなどの小型ネンブツダイ系を4〜5匹、スクーターブレニー×2匹、など

45cm以下の水槽に比べると、かなり様々な組み合わせが考えられますので、かえって具体的に例示するのが難しいですね(苦笑)。ただそれでも、体長10cmを超えるような魚は避けたほうが控えた方が安全だと考えています。
今「ニモ」ブームで人気の「ナンヨウハギ」などは、本来、体長25cmにもなる魚ですので、横幅60cmの水槽では、健康に天寿を全うさせることは難しいでしょう。お奨めしません。
また人気があるチョウチョウウオの仲間は、白点病になりやすいという特徴がありますので、私は飼育しようと思いません。そもそも大抵のチョウチョウウオは「手のひらサイズ」になりますので、90cm以上の水槽で飼いたいところです。(ホントはヤッコ類の飼育も、90cm以上の方が良いと思いますが…(^_^ゞ)。

   
90cm水槽(水量150L程度)まで
  90cm以上の水槽になれば、飼育の自由度は飛躍的に拡大します。非常に多くの組み合わせ、種類が考えられますし、何しろ私自身に使用経験がありませんので、具体的な紹介は出来ません。
ただし、あくまでも欲張らずに、余裕をもって、大切な事は言うまでもありません。

 

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以上が、あくまでも私が考える、飼育数の目安です。
生体の種類やサイズ、場合によっては個体の性格によっても変わりますので、
一概に、「○○cm水槽なら○○匹」とは言えないのが難しいところです。
これ以下の飼育生体数でも上手く行かない場合もあれば、
「これ以上を詰め込んだけど、上手く行っているよ。」
と言う場合もあるでしょう。

ただし、ここに記載したのは、いずれも
「この程度の数なら、少なくとも複数年程度は安定的に飼育できるのではないか?」
と、私が考える数です。

「数ヶ月程度飼えれば、その後は死んでも良い」というのなら、
収容できる生体の数は飛躍的に増加しますが、
数ヶ月程度しか飼育できないのでは、「飼育できる」とは言えないと、私は考えます。
その点が海水魚ショップなどで言われる事とは違う点です。
(海水魚ショップなどでは明らかに長期飼育不可能な魚を推奨したりしますから…苦笑)

とは言え、なにせ全ての水槽サイズで色々な魚を飼育する余裕などありませんから、
ほとんどは推測に過ぎません。ずいぶん見当違いしている可能性もあるでしょう。
ですから、ベテランの方で「ここは違うぞ。」と思われる方がいらっしゃったら、
是非ご意見をお寄せください。
皆さんのご意見を取り入れて、徐々に内容を修正&充実させて行きたいと思います。

 

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