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海底三百ミリメートル・知識編 [6]
「苔」について(2)
〜 緑ゴケ 〜

 

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水槽で魚の飼育をしている人がだれでも悩むのが水槽の中に生える「苔」です。
水槽での魚の飼育と「苔」とは、切っても切れない縁だとも言えるでしょう。

この「苔」については、私自身はあまり詳しくはありません。
専門的な立場から詳しく解説されたホームページも公開されていますので、
詳細はそちらのページ(
こちら→ )をご覧いただくとして、
このサイトでは水槽内でポピュラーな3種類の「苔」のそれぞれについて、
基本的な知識と、実践的な対処法をご紹介します。

「茶ゴケ」に続いては、やはり「茶ゴケ」の跡に発生する「緑ゴケ」について説明します。

なお、ここでは海水魚飼育者の慣例に従って「苔」と呼びますが、水槽内に生えてくる「苔」は地上に生えるスギゴケやゼニゴケとは違う仲間で、海藻などと同じ「藻類」に含まれる植物なのだそうです。

 

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どんな「苔」か
  「茶ゴケ(珪藻)」が発生して、そろそろ減ってくる頃、水槽をセットしてから数ヶ月後になると、今までの「茶ゴケ」とは違って、緑色の、薄くて固い「苔」が生えてきます。これが「緑ゴケ(緑藻)」です。
「茶ゴケ」と同じ用に、ガラス面、LR、底砂などの表面に付着しますが、「茶ゴケ」よりもずっと固くて、キッチンペーパーなどでさっと拭いただけでは取れません。ガラス面の「緑ゴケ」などは、爪の先でかじると少しカリカリとした感触がするでしょう。
シッタカなどもこの「苔」を食べないわけではないようですが、中々取れなくて、固い「芯」のような点がガラス面に残ります。やっかいな「苔」ではあります。
   
発生の原因
  魚の餌や排泄物が硝化された結果発生した「硝酸塩」が主な栄養となっているようです。
ですから水槽の立ち上げ初期には発生せずに、時間を置いて発生してきます。
ただ、これも「茶ゴケ」同様、濾過サイクルが上手く回っている証拠だと考えた方が良いと思います。
完全に除去する事は難しいですが、上手に付き合っていく事を考えたいものです。
   
対策
 
1. 掃除
  「緑苔」の対策としては、とにかく掃除をすることだと思います。
掃除の方法は「茶ゴケ」と同じですが、柔らかいスポンジやキッチンペーパーなどでは中々取る事が出来ません。やや固めの「スクレイパー」や、割り箸の先、アルミ蒸着の固いスポンジなどを使用して下さい。
この際、ガラス水槽はゴシゴシやっても大丈夫ですが、アクリル水槽の場合にはなるべく丁寧にやらないと、ガラス面に傷を付けてしまうかもしれません。アクリル水槽をお使いの方はお気をつけ下さい。
(私は大雑把なので、その点もあってガラス水槽しか使いませんが…苦笑)。
   
2. 生物兵器の投入
  「緑ゴケ」については、「シッタカ」などもあまり有効ではありません。激しく増殖するのを抑制する効果はあるようですが、完全に除去するには至りません。ただ、シッタカが徘徊する事によって、ガラス面に「緑ゴケ」が付きにくくなるのは事実ですので、掃除は楽になります。その意味でもシッタカの投入は有効です。

また、ガラス面など付着する平らな「苔」ではなくて、長く伸びる「ヒゲ苔」などは、ある種のハゼやヤドカリ(イソヨコバサミなど)が有効という話も聞いた事があります。ただ我が家では「ヒゲ苔」が生えないので良くわかりません。(←って、もしかしてヤドカリが入っているせい?)

   
3. 原因物質の除去
  これも中々、難しいものがあります。還元脱窒などで硝酸塩を減らすのですが、それでも全く発生しないと言うことはありません。
ただ、換水する事によって飼育水中の硝酸塩を減らす事は可能ですから、「茶ゴケ」と異なり、換水にも一定の効果を期待する事が出来るはずです。ただしどの程度まで有効かは、定かではありません。
   
4. 薬品の使用
  「緑ゴケ」にも「茶ゴケ」と同じ薬品が有効です。ただしお勧めはしません。
   
5. 照明時間の調節
  これも「茶ゴケ」同様に有効です。ただし完全に抑制するのは、やはり難しいでしょう。
   
6. 殺菌灯・ヨウ素殺菌ペレットの使用
  やはり「茶ゴケ」と同様です。理論上有効ですが、実効性には疑問がつきます。
   
注意
 
  • 完全除去する事は難しい「苔」です。やはり出来るだけ目立たないようにして、共存を心がけるのが良いと思います。
  • 私は平生は水槽の「緑ゴケ」は放置しています。少し邪魔ですが、シッタカが活動していますので、水槽の中が見えなくなるほどに「緑ゴケ」が増える事はありません。それであれば無理やりに取り去ろうとしなくても良いのでは?と思っているのです。友人が来訪するなどで、他人に水槽を見せる時だけ、前日に一生懸命、コケ掃除をします。すると1〜2週間くらいは綺麗ですから、それで満足しています。
    魚にとっては実は水槽面には「苔」が生えていた方が、却って水槽の外側が気にならなくて良いのでは?とさえ思います。直接的な害毒はないのですから、あまり神経質にならないこと、これが長続きするコツではないでしょうか。
  • なお、時として水槽の立ち上げの際に、「茶ゴケ」も生えていないうちから、「緑ゴケ」が生えてくることがあります。これは使用したサンゴ砂の表面に「緑ゴケ」の素(胞子?)が付着していたためと思われます。別に必ず「茶ゴケ」→「緑ゴケ」という順番でなければならないということはありませんから、慌てないで下さい。。

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