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「シアン採取」伝説7
delphinus
2006-04-16 17:32
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思ったより遙かに長文になりましたので、これくらいにいたします。スレッドが伸びましたので、ご意見などはこちらに付けていただければ幸いです。また拙文の著作権は放棄しません(本掲示板の管理人様は私の正体をご存じです)。最近、どう考えても本業の研究より、観賞魚の方面で英語を読んでいるdelphinusでした。
【文献】
(財)地球・人間環境フォーラム,2005,『発展途上地域における原材料調達のグリーン化事業』(財)地球・人間環境フォーラム.
Emmence, Cliff W., 1975, The Marine Aquarium in Theory and Practice, Neptune City: T.F.H. Publication.
Fenner, Robert M., 1998, The Contentious Marine Aquarist: A Commonsence Handbook for Successful Saltwater Hobbyists, Neptune City: T.F.H. Publication
Pro, Steven "Cyanide and Its Unfortunate Use in the Marine Ornamental Industry," Reefkeeping Vol.4(12) http://www.reefkeeping.com/
Rubec, Peter J. et.al., n.d. "Cyanide-free, net-caught fish for the marine aquarium trade," Secretariat of the Pacific Community http://www.spc.int/coastfish/News/LRF/7/LRF7-08.htm1
Spalding, Mark D., Ravilious, Corinna & Green, Edmund P., 2001, World
Atlas of Coral Reefs、Berkley: University of California Press.
杉浦宏,1974, 『海水魚の飼い方――やさしい採集と飼育、附・磯の生物』ひかりのくに.
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RE:「シアン採取」伝説7
院長
2006-04-16 22:21
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非常に興味深く拝見いたしました。
delphinusさん、ありがとうございました。
早速メモ、メモです。
獣医は広く浅くなんで^^;あまり深い知識はないので、以前からシアンで採取した魚が新鮮な海水に戻すと復活すると言う理由がどうしても理解できずにいました。
シアンはチトクローム系の鉄イオンに作用し酸素の取り込みを細胞レベルで遮断する様ですが、海水中の硝酸Naや硫酸Naが自然の拮抗薬として作用しているんですね。
動物でもシアン中毒の処置としてはまず亜硝酸アミル(ヘモグロビンをメトヘモグロビンに変化させシアン・メトヘモグロビンを生成させチトクローム系を回復)や亜硝酸Na、チオ硫酸Naなどの投与を行います(って実際の経験はありませんが・・・。)
まさに海水中にはこれらがある。
うーん、納得です。
ちなみにチオ硫酸Naってハイポですよね。
対処法にも載ってましたが。
メチレンブルーはどうなんでしょう??
獣医医療の治験薬としてヒドロキシコバラミン(ビタミンB12)
って方法もあるようですのでこれも利用できないかな?
まー人や獣医医療では経口的に摂取したのなら胃洗浄、や点滴、血液透析(人)と言う武器も使えるんですが。
自分も以前シアンについて調べていたら日本でも観賞魚のシアン濃度を調べた例があるんですね。
長野県環境保全研究所の例で突然死した1匹から0.07ppmという高濃度シアンが検出された。
ttp://eritokyo.jp/independent/nagano-pref/aoyama-col1451.html
なんて載ってましたが。
怖いですね。
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RE:「シアン採取」伝説7
放蕩息子
2006-04-17 00:20
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◇delphinus様
貴重な情報をありがとうございます。
Steven Pro先生が仰ることに、全面的に同意します。
>まずこの問題について知ることが第一歩
>養殖業者やネットコートをやっている採取業者をみんなで財政支援すべき
>「少しでも安い方がよい」という先進国の消費者感覚が、
>発展途上国におけるシアン採取の原動力になっていることを忘れてはならない
>進んで情報を共有する気持ちを持ってほしい
いずれも仰る通りで、何も付け加えることがありません。
delphinusさんが参考文献に挙げられた(財)地球・人間環境フォーラムの『発展途上地域における原材料調達のグリーン化事業』の報告書は、同財団のホームページで見ることが出来るようですが(↓)
http://www.gef.or.jp/today/seisakuteigen_report_PR.htm
その「0.序にかえて」の中で「隠されたコスト」と表現された“社会環境の費用”は本来、我々・消費者(今の場合、飼育者)が(全てとは言わないまでも)負担すべきものと思います。そのコストを現地の人々に押し付けることで、我々がその負担を免れて安価な魚を入手しているのだとしたら、我々もまた、現地の方々から、不当な利益を搾取しているのだと言わざるを得ません。中間流通業者だけの問題ではないのです。
この問題は無視しては通れない問題だと考えていますので、これを機会に少しでも多くの方が、この問題について考え、責任ある行動をとるように心がけてもらえるようになれば嬉しいです。delphinusさんが仰るように、はやく日本にも、この問題の解決に向けて動き出す組織が生まれると良いですよね。
もしそんな組織が日本にも出来るのなら(今のところ私には他に出来ることもなさそうなので(^_^;;)、寄付くらいは喜んでするのですが…。
◇皆様(一応、念のため)
このスレッドは、2006/04/16付けのdelphinusさんの書き込み、No.[6585〜6595] 「シアン採取」伝説1〜6に関連するスレッドです。
是非、No.[6585〜6595] もご覧下さいね。
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RE:「シアン採取」伝説7
プアマリナ
2006-04-17 14:34
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delphinusさん、素晴らしいですね。
特に“自分のカネを節約するために、流通過程において多数の生き物が死んでも構わないという態度をとるべきでない。”というところ。
私の様に節約もクソも「金がない」という場合は、はっきりと「魚を買わない」という行動に(自然と)出ております(^_^;)
ただ先進国の中でも特に盗賈の輩が多い某国の場合は「安く仕入れて高く売る(高く買った方が大事に飼ってもらえる等とほざきながら)」裏技を使う業者も多いので、「高ければ安心」とはなりませんね。
実際、某国の西の方では、高いことで有名な店でも平気でヨレヨレのを売ってることがあります。そういう店の「セール品」は絶対にダメ。これだけは確実に言えますが…。
昔、某店でソメワケヤッコが2種類売っていて、水槽に入ってるのとバケツに入ってるので、値段が全然違ったことがあるんですけど、あれは恐かった(~_~;)
ただ水槽に入ってる(高い)方も、買う気にはなれなかった…。
今回は、片方がロック・ビューティだったというオチはありません(^_^;)
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ちょっとだけ補足
delphinus
2006-04-17 23:15
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院長先生(「いんちょ」先生?)・皆様
シアンに暴露された魚が「復活」するメカニズムを本気で書くと厄介なことになるので、かなり省略しています。チオ硫酸ナトリウムはおっしゃるとおりハイポです。
メチレンブルーの件はよくわかりません。シアン採取魚の特徴としてProが挙げる「青の発色」「ふらつき」をメトヘモグロビン血症の症状と考えるならば、メチレンブルーは効果があるかも知れません(人間のメトヘモグロビン血症に対して、メチレンブルーを静注する場合があります)。
今日、Hemdalが書いた中級者向けの飼育書が届きました。ぱらぱらめくってみると、約1ページですが、フィリピン・インドネシアのシアン採取について触れられています。また、記述量はごく僅かですが、以前から噂されていたカリブ海の話が書いてあったことに驚きました。「カリブ海では漂白剤による薬物採取がおこなわれていると言われてきたが、この方法が魚に後遺症を与えるかどうかはまだきちんと追試されていない。しかし、漂白剤がサンゴに悪影響を与えることは知られている」といった趣旨です。次亜塩素酸ナトリウムを魚の隠れ場所にスプレーして、魚が飛び出してきた所を採取するのです。動くことができない付着動物は環境変化に堪えられず弱ってしまいます。
minimini様やTetsuo様がかつて言及されていましたが、南米で採取された魚がどうも怪しい(特に怪しいのはロックビューティ、スギアヤチョウ、リーフBF)ことは、古手のアクアリストにはそこそこ知られた話です。日本語の飼育書やホビー誌には書いてありませんが、一部のショップがカリブの魚に対して「○○便」と「××便」で値段を変えてくるのはこのためだと思われます。Hemdal, Jay F. 2006, Advanced Marine Aquarium Techniques, Neptune City: T.F.H. Publications.
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RE:「シアン採取」伝説7
トンヌラ
2006-04-18 01:30
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delphinus様
ご苦労様でした。私のような英文に疎い、さらに書物にも疎い人間に考えるための貴重な機会を与えてくださったことに感謝いたします。m(__)m
黙って引っ込んでいればよいものを、思うところがあったので、書かせてください。
Steven Pro先生の言葉に対し、現在の私と過去(2年前に始めた頃)の私で回答してみました。
>一介のアクアリストがこの悲劇に対して何をできるかを考えるべきだ。まずこの問題について知ることが第一歩だ。
A.幸運にして2年ほど前に、このページ他のWeb上で、初心者である私もこの問題の一端を知ることができました。
また、これを知ってからは、ショップでの購入は極力控え、身の回りの人たちにも自家採集による入手法を紹介するようになりました。
>次の一歩はカネの使い方だ。養殖された個体、あるいはネットコート保証がある魚だけを買うことをアクアリストに勧めたい。
A.正直言ってこれはできません。特に初心者の頃は水槽がすぐに寂しい状態になるので、
ショップに行く→一目惚れして買う
の繰り返しです。最初から飼育する予定の個体を決めて、安全保障のモノが出るまで待って買えなんて言われたら逃げ出します。
今だって自信ないです。採集やっているからガマンできるものの、そうでなきゃ近所のショップの980円を買うに違いありません。だって、今でも2年以上前に1000円未満で買ったヤッコが自分の水槽で泳いでいる事実に逆らえないです。
>養殖業者やネットコートをやっている採取業者をみんなで財政支援すべきだ。
A.少々の募金くらいならできそうですが、上の回答と同じで1000円未満が限界でしょう。
>この趣味にはカネがかかることは承知している。しかし、「少しでも安い方がよい」という先進国の消費者感覚が、発展途上国におけるシアン採取の原動力になっていることを忘れてはならない。自分のカネを節約するために、流通過程において多数の生き物が死んでも構わないという態度をとるべきでない。
みんながネットコートされた魚しか買わなくなって、無神経なショップ、無知なショップが閉店に追い込まれても、私(Steven Pro)は何の同情も感じない。
A.これも難しいです。私の知る限りでは私が通っているいくつかのショップでネットコートの表示すら見たことがありません。(ブリード個体の表示はある)
>買った魚を健康で長生きさせるために、あなたの持てる全ての力を動員してほしい。そして水槽学(Aquariology)作りに貢献するために、進んで情報を共有する気持ちを持ってほしい。適切な管理と選別(どの種は飼育可能で、どの種は人の手に余るか)について、アクアリスト相互が、あるいはアクアリストと一般大衆がお互いに学び合うことが、サンゴ礁の保全に対してアクアリストができる最大の貢献だろう
A.このことだけは、初めから努力しています。特にこのサイトでの情報により学んだことは飼育に上達に大いに役立ったと思います。
以上、まことに自分本位でdelphinus様には失礼な内容だったかと思います。
また、不快に思われた方にもお詫びいたします。m(__)m
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RE:RE:「シアン採取」伝説7
delphinus
2006-04-18 02:46
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トンヌラ様
トンヌラ様
>以上、まことに自分本位でdelphinus様には失礼な内容
>だったかと思います。
>また、不快に思われた方にもお詫びいたします。m(__)m
いえいえ、私自身は全くそんな感覚は持っていませんし、Steven Proさんもトンヌラ様のことを批判したりはしないと思いますよ。トンヌラ様は彼が言う4つの項目(a.シアン採取のことを知る、b.ブリード物やネットコート物を買うことで優良業者を支える、c.魚の飼育法について勉強する、d,知識を共有する)のうち、少なくとも3つを実践されている。この意味においてトンヌラ様はむしろ賞賛されるべき存在だと思います。
批判されるべきは「○○ヤッコ、××ハゼ、◇◇フグ、◆◆イソギンチャク」を衝動買いした後で飼い方をネットで質問して回る人や、「しょせん趣味なんだから楽しくやればいい」などと言い放つ輩です。こういう人は本を買わない。何かあれば泥縄式にネットで質問すれば良いと思っているし、生体が死んでもまた次を買うだけの話です。
リーフタンクが流行したり、海水魚の価格破壊が起こって以来、飼育困難種として知られるヤッコ、ハコフグ類、シライトイソギンチャク、ハコフグ類、陰日性サンゴといった比較的難しい生体、自然界での生態を知らないと飼育が困難な生体を切り花的に消費する方が増えたように思います。オカヤドカリについてもそう。ショップの言うことを鵜呑みにして、水道水と残飯を与えればOKだと思っている人は決して少なくありません。
こういう人は「無知である」点においてではなく、「楽しい趣味」「癒し」という美名のもと、「無知であることを恥じない」点において非難されるべき存在だと思います。こういう人は、私のような閑人が苦労して飼育理論の最大公約数をまとめて一生懸命に教えても「そんな難しいことはちょっと」とか「飼育法は人それぞれ」「自己流のやり方を確立するまで、気がすむまでやればよい」などと言い出す。そして見事に生体を1週間〜1ヶ月で殺す。悲しむ間もなくまた再挑戦し、好き放題な飼い方をして再度殺してしまう。私もちょっと疲れました。もう、飛び込みで入ってきた「○○がうまく飼えません。なぜでしょう」とか「××が餌食べません。どうしたら良いでしょう」といったタイプの質問にはあまり回答する気が起こりません。
海水魚飼育のように定石が確立した趣味においては、ビギナーズラックが起こる可能性は非常に低い。将棋や囲碁と同じです。素人がいくら意表をついた手、定石を外れた手を打ったとしても、定石を知っている人には絶対に勝てません。ここで問題なのは「勝てないこと」ではありません。「定石を知らないと勝てないことを教えてもわかってくらない」素人がいること、さらには「自分で定石を知ろうと努力しない」素人がいることが問題なのです。
「命のありようについて無知であることを恥じない心」は「命の尊厳を軽んじる心」と同義だと思います。こういう心を持った人がいるからこそ、「アクアリストは自然の敵、命の搾取者」という批判が出てくるのではないでしょうか。そして困ったことに「楽しければそれでいい」と思う人、本来こういった批判の矢面に立つべきはずの人間は、批判の矛先が誰に向けられているかという点にすら気づかない。だから「楽しければいい」派の人は批判を完全にスルーする。批判がぶち当たるのは「自分が命をもてあそんでいること」にうすうす気づいているが故に、飼育や生態に関する知識を真剣に集めようとしている人です。そして哲学的に悩むことになる。トンヌラ様は明らかに後者のカテゴリーに含まれる方です。ならば、自分を卑下することはありません。自分に無理のない範囲で命の尊厳を尊重されておられますので、それで十分だと思います。
夜分遅くに長文、失礼いたしました。教師的になってしまいましたね。傲慢をお詫びいたします。寝なきゃヤバイです
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RE:RE:「シアン採取」伝説7
放蕩息子
2006-04-18 13:52
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良い議論になって来ましたね。トンヌラさんはしばしば、非常に大切な問いかけをして下さって、議論が深まるきっかけを与えてくれます。ありがとうございますm(_*_)m。
私もdelphinusさんがおっしゃる
>こういう人は…、「無知であることを恥じない」点において非難されるべき存在だ
という意見に賛成です(そもそもこのスレッドでは私は「同意です。」とか「賛成です。」くらいしか書くことがないですけど…(^_^;;)。
で、この手の話をしているとしばしば(あるいは必ず?(^_^;;)、「自分が魚を飼っているくせに、他人のしていることについてあれこれ言うのは自己矛盾だ/五十歩百歩だ/目くそ鼻くそだ。」等々、言い立ててくる方がいらっしゃるのですが、ご苦労様ですm(_*_)m。
じゃなくて(^_^;;、そういう方は二重に間違っていますね。一つには「自己矛盾/五十歩百歩/目くそ鼻くそ」ではない立場を想定している自己認識の部分と、結果的に、例えばシアン採取であったり、無茶な飼育(=時間を掛けた虐殺?)を黙認し、むしろ助長してしまうという実践的な部分において。
実にnaiveな(=純真な/無邪気な/単純な)、書生論なのではないかと思います。
(というような話は、プアマリナさんが得意かなあ…笑)
ただ、そうではなくて大切なのは、あるいは我々が選択しなければならないのは、「自己矛盾/五十歩百歩/目くそ鼻くそ」を認識しながら、それでもなお、その自己矛盾に苦しみつつ、そして耐えつつ(←ここ大事。笑)、少しでも「まし/まとも/比較相対的に“正しい”もしくは“間違いが少ない”」方向へ、自分自身の行いと社会(その第一歩としては家族からでも良い)のありさまを変えるよう、努力することじゃないでしょうか。つまりベクトルの問題。
既にdelphinusさんが書かれていることですが、Steven Pro先生も、その4つを全て実践していなければNGで、実践していればOK。とは言わないでしょう。1つも出来ていない人は少しでも出来ることが増えるように努力するべきだし、4つ出来ている人もそれで終わりではない。次のステップがあるはずです。ですから、その4つも決して“ゴール”ではなくて、向かうべき方向性を示されたのだと理解すべきなんじゃないですかね。
そうした意味で、トンヌラさんも決して恥ずべき方向に向かっているとは思いませんし、その他の方たちも、このBBSに書き込んで下さったり、あるいはROM専門でも熱心に読んで下さる人たちというのは、程度の差こそあれ、それぞれに、少しでも「まし/まとも/比較相対的に“正しい”もしくは“間違いが少ない”」方向へ、目を向けようとしている方たちなんじゃないかな。と思っています。(だからこそあんまり荒れたりすることがないと思うので、管理人としては非常に楽なんですが。笑。)
この場でこうした議論が出来ることを、BBSの管理者として、私はとても幸せに感じます。ありがとうございますm(_*_)m。
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RE:RE:RE:「シアン採取」伝説7
トンヌラ
2006-04-19 00:20
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放蕩息子様、delphinus様
昨夜は遅くまで仕事が終わらず、途中でついつい思うがままに書いてしまいました。(汗)
・・・にもかかわらず、寛大に、そしてご丁寧に回答をつけていただき感激です。
毎度のように、もう何も言えなくなっちゃいましたので、お礼だけ言わせてください。
ありがとうございました。m(__)m
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RE:RE:RE:「シアン採取」伝説7
ゆーが
2006-04-19 19:58
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放蕩息子様、皆様はじめまして、ゆーがと申します。
こちらのHPはず〜っと前から拝見させて頂いていて、私のバイブル的存在となっています。いつも「うんうん」とか、「なるほど」と、PCに向かって話しかけていました(笑
ただ、初心者で無知な私はなかなかレスする勇気を持てないでいました。でも、今回は色々考えさせられ、また思う所もあり書き込みさせて頂きました。
私は、海水魚を2年半程、その前は淡水魚を3年程飼育していたんですが、淡水魚を飼育していた時は「自然」というものをまったく意識して飼育したことはありませんでした(それは言いすぎかな?^^;;)。そんな状況で始めた海水魚飼育ですが、最初のころは魚を数々殺し、そして悩む、という日々を過ごしていました。しかし、色々「海水魚飼育」というものを調べていく内に、放蕩息子様のHPをはじめ数々の優良HP、アクアリスト仲間に恵まれ、現在何とか自然のすばらしさを子供と共に実感しながら海水魚飼育を続けることが出来ています。そんなこんなで海水魚飼育をしている現在ですが、魚が死ぬたびに自分は自然を破壊することに加担しているのでは?という疑問が湧いてきます。ただ、その反面1つ強く思うことがあって、子供たちに自然のすばらしさを身近で直に感じとってもらえて、結果すばらしい大人に成長してくれればな、とも思っています。
私個人的には海水魚飼育はすばらしいことだと思っていて、海水魚を飼育している人は自然を重んじる方々ばかりだと信じているんですが、一部の心無い飼育者の軽はずみな言動にはほんと悲しくなってしまいます。せっかく海水魚飼育に出会えたのだから、もう少し自然というものと真剣に向き合う努力だけでもして欲しいなあと思ってしまうのですが・・・
そんなかっこいいことを思ってはいても、自分はただ、自然を破壊してるに過ぎない側の人間なんでしょうが・・・
長々と駄文すみませんでした。
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RE:RE:「シアン採取」伝説7
ブルータンク採取人
2006-04-19 11:19
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トンヌラ様
delphinus様
放蕩息子様
随分と迷いましたが、採取現場で知りうるお話として述べさせて頂きます。
現在、国内では「環境保全・保護」「養殖・繁殖生体の開発」「販売市場・流通の透明化」などを業界の一部(幅は広いので全体的と言ってもいいかもしれません。)で進めていく動きがあります。
これは、当然ですが市場の健全化への方向性であり、マリンアクアリュームが一般化している中で意識されたものでもあります。
少々乱暴な言い方ではありますが、生産性を進める事自体に大きな矛盾をはらむ天然・自然採取は、現在の市場要求と社会的意識を満たす事が出来なくなりつつあり、企業・団体・グループなどによる建設的な努力が必要となってきているのかも知れません。
(残念ながらdelphinusさんがおっしゃったように、これだけ大衆化されると切り花的な飼育状況が多くで発生し、全過程での生体損失の数は計り知れないものとなっています。)
がしかし、こうした動きが浸透するまでは現市場価格との競争力はないでしょうから、この辺で価格の二極化が進む可能性が強くあります。
特に健全化とそれに伴う透明性を高めようとすればするほど、コスト負担が価格に反映していきますし、新たな矛盾も生じてきます。
また、こうした動きの中では、放蕩息子さんが言われるように、自己矛盾を抱えながら少しでもいい方向へという意識をもった飼育者をきちんと認識していると同時に、そうした意識を持ちつつもトンヌラさんが言われたような価格等に対する現実的な判断も痛いほど理解していると思います。
そして、この隙間をいかに埋めるべきかが、色々な所で話し合われていると思います。
特にその中で重要になってくるであろうポイントとして、飼育者にとって最良となる選択がどれくらいの時間的な意識を持ちうるのかという事があるかと思います。
個々のアクアリストの心情で言えば、生体の継続的入手をどこまで望むのか、という事であったり、大きな意味では後世に残す自然をどこまで意識するのか、だったりする問題です。
こうした意識共有がアクアリューム界全体で試されてもいるのだと思います。
説明不足の点が多々ありますので、誤解などを生じさせる書き込みになったかもしれません。
また、自身の立場から利益団体を代弁するような形にならないよう注意したつもりですが、管理人様には一言お詫び申し上げておきます。
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RE:RE:「シアン採取」伝説7
放蕩息子
2006-04-19 14:17
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◇トンヌラ様
>昨夜は遅くまで仕事が終わらず、途中でついつい思うがままに書いてしまいました。(汗)
ははははは。トンヌラさんもdelphinusさんも“宵っ張り”のようで。
(でもお二人とも好んで夜更かししていたようではありませんが…(^_^;;)
>毎度のように、もう何も言えなくなっちゃいました
何言ってるんですか、またバリバリ書き込んで下さいよ(笑)。
◇ブルータンク採取人様
書き込みありがとうございます。
>随分と迷いましたが
と仰るお気持ち、お察し致します。それだけにブルータンク採取人さんに書き込んでいただくことが出来て、とても嬉しいです。ありがとうございます。
このところ私は、環境保全関係の本をちらちらと読んでいるのですが、最近になってようやく、漁業の世界でも「Maxmum Sustainable Yield:最大持続生産量/最大持続収量」というものが検討されるようになって来ているのだそうですね。海は広くて、資源がまるで無限にあるように感じられたので、「環境収容力」とか「持続収量」みたいな概念が浸透しにくいという背景があったのだと思いますが、日本の食卓に世界中の海から魚が送られてくる状況になってようやく、海の広がりも、そこに住む生き物の数(=漁業資源)も、有限であることが実感される条件が整ったのではないでしょうか。
時間は掛かるのでしょうが、まず世界中の漁業資源が有限であることが認識されて、これからは却って沿岸漁業の大切さが見直されることになるのではないか?という期待もしています。
観賞魚(魚だけではないですが。笑)漁業&販売についても同じことで(今は過渡的な状況だと思いますが)、一時的な収穫量/販売量の最大化のみを目指す破壊的なやり方が長続きするはずはないと思います。
そう簡単に“ゴール”にたどり着くとは思いませんし、そもそも“ゴール”自体、いつまでも同じところにあるのではなくて、状況によってどんどん変わっていくことになるでしょう。そういう意味ではどこに“ゴール”があるのかすら分からないのですが(^_^;;、ある程度の方向性は絞れるのではないかと思いますので、少しずつ、漁業者の方たちもユーザーの我々も、中間の流通業者の方たちも、変わっていけたら良いですね。
そしてそのためには、消費者サイドだけが一方的に発言するだけではダメだと思うので、漁業者の方々も流通業者の方々も、そして我々消費者/飼育者も、広く意見交換し、それぞれに考える必要があると思います。その意味でブルータンク採取人さんのような方が、このような場に書き込んで下さることは、たいへんありがたいし、嬉しいです。
海水魚飼育という“面白い”趣味を、持続可能なものとしてこれからも続けていくために、どんんな仕組みが必要で、それぞれがどれだけの利益を上げ、コストを負担すべきなのか、「ただ儲かれば良い。」とか「ただ安ければ良い。」というものでもないんだな。と、お互いに気付くことが出来れば、それは最初の一歩に過ないのかもしれませんが、でもとてつもなく大きな一歩なんじゃないでしょうか。我々はまず、その第一歩を踏み出したところ(もしくは踏み出そうとしているところ?)ですね。
話はシアン採取に留まらない話になって来ていますが(笑)、引き続き意識して情報収集したり、話題にしたりして行きたいとは思っていますので、これからもよろしくお願いします>ALL
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RE:RE:RE:「シアン採取」伝説7
delphinus
2006-04-19 16:45
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放蕩息子様
自慢じゃありませんが、4月18日はマジでやばかったです。
寝ようとしたところにトンヌラ様の書き込みを発見。即答が難しい問いかけだが、このもやもやを解決しないとたぶん眠れない。
改めて読み返してみると、誤字脱字が多すぎて恥ずかしい。おまけに翌朝は40分以上も寝坊。目覚まし時計を無意識に止めたらしい。起きて時計見たときには息が止まりそうになりました(10分で身支度して車に飛び乗り、何とか遅刻は免れました)。
ブルータンク採取人様
難しい立場であるにも関わらず、貴重なご意見をいただいたことに深く御礼申し上げます。しかも眠い頭で書いたため私の日本語はめちゃくちゃ、誠に汗顔の至りです。私はその昔、親に連れられて石垣島に行きました。川平湾や白保の美しさは今でも印象に残っています。実は、あの美しさが印象に残っているからこそ、再訪するのが怖いのです。
いわゆる「観光客」を目当てに作られた「南国のリゾート」は性に合いません。あんなものは断じて「楽園」ではありません。土木工学で作られた「ジオラマ」です。だから私は「観光客」として「南の島」には行かないし、「海水浴」もやらない。毎日、専門の人が掃除して回るような「白砂」ビーチや、クラゲぐらいしかいない砂漠のような海に、私は何の魅力も感じないし、周囲の人にも魅力を感じてほしくないのです。おかげで「海水魚やっているのに海嫌いな変人」と思われています。
ところで、ブルータンク様(申し訳ありません、最近まで御社の名称はBlue Tang=ナンヨウハギ?と思いこんでいました)はクマノミ、イソギンチャク、アマモ以外の生体も取り扱われておられるのでしょうか?。
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RE:RE:RE:RE:「シアン採取」伝説7
ブルータンク採取人
2006-04-20 09:07
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delphinus様
当方こそ、言葉を選びすぎた為か意味不明な文脈になってしまいました。
(言葉の使い方の間違いも多々あり、少々反省しております。)
とりあえず行間を読んで頂ければ幸いに思います。
確かに石垣島の観光化の勢いは、古くから来島されている方にとても不評ですね。
がしかし、もし石垣島の採取現場やそうした海域に深い関心を寄せられるような事があれば、是非いらして下さい。
時間の許す限り自然及び採取海域の現状などをご案内する気持ちを持ってやっております。
ブルータンクの名称は、通常現地で使われる青色の管理水槽から付けました。
自身が最初に採取業を始めた時に使った管理水槽もFRPに青いゲルコート(防水塗料)のものでしたので、現地採取者としての象徴的な意味を人知れず含めました。
と同時に一般的には海水魚特有の青い波長の漂う水槽をイメージするのかなと思っておりましたが、やはり海水魚マニアにとってはパウダーブルータングやブルータングなどハギを暗示したイメージになりますかね。
実は、そうした方もいるのだろうなあ、とは密かに思っておりました。
また、ブルータンクとしての取り扱い生体ですが、現在のところはHPで公開している限りといったところです。
自身としても業販向けとして一通りの採取は行ってきましたし、古くからの経験豊富な現地採取業者仲間とのネットワークも含んで色々な可能性を探っているのですが、採取と管理は出来ても、信頼に足る直接的な小口提供という段階になると色々と解決しなければならない問題もあったりします。
本当は外国産との価格競争から何度も断念しているチョウチョウウオやヤッコ類などの採取販売にリベンジをしたかったのですが、直接飼育者の皆様と関わると一つの生体だけでも非常に多くのテーマが出てくるもので・・・。
放蕩息子様
ゆーが様
今は、ネットがありますので飼育者の方の考え方や動向などが現地の採取者でもかなり理解出来る現状があります。
これに対して現場がいかに飼育者に対してフィードバックするのか、という事がとても大事だと考えております。
生体市場での嗜好動向だけを追うのではなく、出来る限り飼育者と繋がる現地情報を正確に伝える努力からしなければならないと思っております。
それによって多くの方々のマリンアクアライフが実のあるものとして充実していく事が、採取者の責任や誇りとなる道筋だと感じて止まないのです。
(アクアリュームが自然破壊行為として帰結すれば、採取者はその当事者として非常にやり切れない思いを抱えたまま海に沈んで行くのみですから。)
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RE:RE:RE:RE:RE:「シアン採取」伝説7
プアマリナ
2006-04-20 12:07
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プアっす(^_^;)
南紀へ行ってる間に、とても有意義な意見交換が行われていましたね。ちょっと出遅れました(~_~;)
ブルータンク採取人様、
業界の方(というと語弊がありますが)から、そういうお話が聞けたのはとても嬉しいです。ありがとうございます。善良なお店は、ハンドコートとか、ネットコートとかをもっとアピールしていくべきでしょうね。何でも規制だ義務だでは窮屈ですし、意識の高い業者間で自主規制していけるようになるのが一番ですね。
妙なブームを煽って、生き物を次々に消耗品扱いして日銭を稼ぐ“親切な業者さん”に対しては、我々飼育者が、もっともっと意識を向上させるより仕方ないと思います。
私も“飼育者たちが、共に意識を向上させていけるような”サイトを作っている最中ですが、なかなか上手く行きません(~_~;)
「ややこしいこと考えずに(他人からもああだこうだ言われずに)楽して飼いたい」と思っている“愚劣な飼育者”が多いのでしょうかね。それとも業者批判をしているサイトだと思われているのか…。とにかく己の器量で相手を測る(その上、そこから一歩も出ずに偏狭な中傷を繰り返す)連中には困りものです(^_^;)
放蕩息子さん、皆様、もちろん我々飼育者の問題ですよね。
意識の高い飼育者が増えていくことで、悪辣な業者や低劣な消費者は恥ずかしくなって消えていく、という方向が、一番良いと私は思います。
業者や行政を私怨みたいなので批判していても“単なるプロ市民”なので逆効果ですよね。まあ私もタマには(タマにか?)皮肉ぐらい言うけど(^_^;)
プロ市民派からは「仲良しごっこかよ?」とか、自然は自然のまま派からは「所詮は人間のエゴだ!」とか、死ぬまで放っとくだけの飼い方が好きな連中からは「人それぞれだ!」とか、ドイツもコイツも判で押した様に言ってきますけど、そんなものにはめげずに飼育情報の交換やフィールド観察の報告等は、大いにやるべきだと思います。
このスレッドって、永久保存版ではないでしょうか。
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