* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

駄作の蛇足

(母子蜘蛛)

 

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

お釈迦様と蜘蛛と言えば、芥川竜之介の「蜘蛛の糸」でしょうか。
でも実は私は昔から、このお話が嫌いでした。「蜘蛛の糸」のお釈迦様はずいぶんと気まぐれだし、薄情なように思えたからです。
そこで私は私なりの、お釈迦様と蜘蛛のお話を作りました。

母蜘蛛が子蜘蛛を背負って育てて、やがて子蜘蛛に食われて死んでしまうというのは、別に私が創作したことではなくて、実際にそのような習性の蜘蛛がいるそうです。ただし母蜘蛛が子蜘蛛を食べてしまうかどうかは知りません。またその時に、お釈迦様がその様子を見ていて下さったかどうかも、私には分かりません。

親子が互いに互いを食べてしまうと言うのは、「ちょっと残酷ではないか。」と思う方もいるかもしれませんが、自然の生き物の間では特に珍しい事ではないのではないかと思っています。(実際、我が家のクマノミは、自分が育てて孵化させたた稚魚を食べてしまいますし。)また実際に、面と向かってお互いを食い合う事こそしませんが、我々人間の親子も多かれ少なかれ、お互いの命をすすり合いながら生きているようなものだ、とも私は思います。何より私たち人間は、日々、他の生き物(=動植物)の命をいただく(=食べる)ことなしには、生きていくことが出来ないのですし。

ただきっとそんな時にもお釈迦様は、遠い天の上から我々、一切の衆生を慈しんで、静かに手を合わせてくださっているはずだ、と、私は思っています。それが私の心の中にいる、お釈迦様のお姿です。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

「親子蜘蛛」に戻る

「貧弱物語集」トップに戻る
「放蕩息子の半可通信」トップに戻る

◇ ご意見・ご質問・ご批判等は掲示板、またはこちらまで ◇